世の中では、新規事業や新製品/サービスに関するアイデアを創出する、デザイン思考系のワークショップが多数見受けられます。「社会課題を解決しよう!」と盛り上がり、「アイデアがたくさん出てきた!」「なんか面白いことができそうだ!」と、その場の盛り上がりは上々。しかし、後日、冷静になって考えると、「で、何から始めればいいんだっけ・・・?」「他社がやっても同じ結果になりそうだ・・・」と立ち止まってしまっている企業をよく見かけます。

このような問題が起きる理由、それは、アイデアを明確なコンセプトに落とし込めていないから、です。

製品/サービスのコンセプトは、「誰がどうなるか」「何を用いるか」「強みや特徴は何か」という3つの情報で構成されます。新規事業や新製品/サービスを考える中では、特に、コンセプトの特徴・強みとして自社らしさ(自社のビジョンやコア技術など)を含めることも意識しなくてはなりません。

単純なようですが、これがなかなか難しく、世の中のワークショップは、出てきたアイデアを十分にブラッシュアップして具体的なコンセプトに落とし込む時間が足りていない傾向にあります。そのため、せっかくのワークショップを行っても、「そんな製品/サービスがあったらいいね、できたらいいね」で議論が終わってしまい、より先のフェーズにつながらないのです。

思考は発散させるだけでなく、収束させることも重要

製品/サービスについて考える過程では、アイデアの発想とブラッシュアップが必要です。ただし、その2つを混同しないように気を付けなくてはなりません。両者では、用いるべき思考が異なります。前者は思考の発散が求められるのに対して、後者は思考の収束が求められるのです。

ゼロに近い状態からのアイデア発想(デザイン思考やマインドマップなど)では、思考を発散させることがメインとなっています。一方、そこからさらに検討を進めていくには、思考を収束させることも必要かつ重要となってきます。

オモイエルが提唱するSolution Structureは、この収束のプロセスを担える思考法です。デザイン思考と組み合わせることで、アイデアを発想するだけでなく、アイデアをブラッシュアップし、具体的なコンセプトに落とし込むこともできるようになります。

思考を収束させることには、上位にある目的に立ち返ったり、余計な情報を除外して本質的な検討のみに集中したりできる効果があります。そのプロセスを通じてアイデアをしっかりとコンセプトに落とし込むことができてこそ、成果にたどり着くための本当のスタートに立てたと言えるのではないでしょうか。

なお、新しいアイデアを増やしたいと思っている場合でも、先に現状の思考をある程度収束させておくことは効果的です。事前に現状を振り返っておくことで、検討の軸が整理され、結果的に発想が膨らむこともあります。また、今後出てくるアイデアのどこが新しいのかを明確に説明することもできるようになります。

新規事業や新製品/サービスをつくりたい、という最終的な目的から考えると、本当は、出てくるアイデアの数や斬新さより、いかに質の高いアイデアを練り上げられるかの方が重要なはずです。そのためには、思考の発散と収束を意識的に使い分け、繰り返さなくてはなりません。アイデア創出系のワークショップで思考を発散させるだけで終わってしまっていた人は、収束させることもぜひ考えてみてください。