製品/サービスの企画開発を継続的に進め、より良いものをつくっていくには、その製品/サービスに込める思想を定期的に振り返り、新しいアイデアを出したり課題を整理したりすることが必要です。そのために重要になってくるのが、内省(reflection、リフレクション)です。

今回は、効果的な内省を生み出すための方法について解説をします。

内省とは思考の地図をつくること

内省とは、頭の中を振り返って今後に向けた気付きを生み出す、という意味です。これは言い換えると、今いる現在地をしっかりと把握し、今後の目的地とそこへの向かい方を考える、ということだとも言えます。つまり、内省をするというのは、現在地と目的地を確認しながら”思考の地図”を作ることなのです。

また、内省は一度だけでなく、定期的に行うことが重要です。それは、思考の地図を定期的にメンテナンスすることだと言えます。

思考の地図の作成とメンテナンスは、次のようなサイクルで行います。

  • 今ここにいる、という現在地を把握する。
  • 目指す目的地がどこなのかを明確にする。また、必要あれば、その目的地を微修正したり見直したりすることも考える。
  • 現在地から目的地に向けた道筋を考え、そこに本当に辿り着けるのか、もしくは本当に辿り着きたいと思えるか、を確認する。

このようなサイクルを繰り返し行うことで、自身が目指す方向性を常に明確に持ち続けることができるようになります。また、今時点でできることと本来やりたいことを調和させられるようになってきます。

製品/サービスに対する思考の地図を作る

製品/サービスづくりの場面においては、思考の地図というのは、ニーズ・シーズについての思考(理解・解釈)を可視化することで作成できます。

ニーズとは、顧客の目的・課題のことです。また、シーズとは、製品/サービスに含まれるモノ・技術・ノウハウのことです。これらについての思考を可視化すると、その製品/サービスの企画開発者による思考の地図ができ上がります。

そのような地図(思考を可視化した結果)があると、検討の全体像が明確になるため、現在地、すなわち、検討の中で現在注目している箇所の位置づけや重要度も明確になります。また、目的地、すなわち、製品/サービスを通じて実現したいことや顧客への提供価値も明確になります。それにより、製品/サービスの目指す方向性が定まり、ブレずに一貫した検討を進めることができるようになってきます。また、その方向性が顧客やチームメンバーに正確に伝わるようにもなります。

逆に言うと、地図が無い限り、同じ道を何度も辿ったり、方向性がブレて迷走したりする可能性が高まってしまいます。

思考の地図をメンテナンスし、精度を高める

製品/サービスを進化させ続けるには、思考を可視化し、地図を持って内省を行うことが効果を発揮します。また、内省を定期的に行えるように、その思考の地図をいつでも振り返られるようにしておくことも有効です。例えば、思考を可視化した結果をプリントアウトして部屋の壁に貼ったり、パソコンのデスクトップの壁紙にしたりして、それをずっと意識し続けられるようにするのです。

その点で、思考の地図は定期的にメンテナンスすることが重要です。ペースは人それぞれでしょうが、例えば月に1回程度、地図をメンテナンスする時間をつくることで、内省による効果を生み出し続け、地に足を付けた活動ができるようになってきます。

また、その際には、地図を確認するだけでなく、より良いものにすることも考えなくてはなりません。

普通の一般的な地図でも、細い道の情報がより細かく分かったり、これまで通ってきた道やこれから通る道がパッとわかる形になっているのが望ましい、というのはお分かりいただけるかと思います。製品/サービスの内容を可視化した結果も同様で、それがあなた自身にとって、より使いやすく、納得できる形になるようブラッシュアップし続けることが必要となってくる訳です。

そのためには、情報整理の精度を高めることが求められます。つまり、可視化した結果をより詳細化することや、正確性を向上させることが重要となってくるのです。

精度の高い情報整理を行うための基本は、情報の構造化です。オモイエルでは、製品/サービスに関する情報を構造化して整理できる、Solution Structureという思考法を提唱しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

また、以下の記事では、上記の情報整理と並行して、製品/サービスについて内省したい場面で特に意識しておくと良いポイントをご紹介しています。

ぜひ、これらを参照いただきつつ、あなたも製品/サービスについて思考の地図を持ち、内省する機会をつくってみてください。きっと新たな発見やワクワクが見つかると思います。

なお、内省の際は、思考の可視化をベースとしつつ、「この理解で誰もが納得できるだろうか」とか「もっと良い結論を生み出せないか」といったことを考え抜こうとする、クリティカルシンキングと呼ばれる心構え・姿勢を持つことや、誰かと対話の場を持つことも効果を跳ね上げるための方法として有効です。

オモイエルでは、それらを兼ね備えた壁打ちサービス(対話サービス)や、内省を1人で実践できる研修講座をご提供しています。詳しくは一度お問い合わせください。