壁打ちサービス体験談:株式会社竹中工務店様

壁打ちサービス体験談

新規事業テーマの”筋道”を明確化! 思考プロセスを振り返られる状態に。

株式会社竹中工務店
経営企画室 新規事業推進グループ
浅井 隆博 様

今回ご相談された背景を教えてください。

 弊社では、建設現場の生産性改善や自動化・省人化に向けて、ロボットとIoTの活用(建設DX)に取り組んでいます。また、最近は同じ建設業界の企業様たちと建設RXコンソーシアムを立ち上げ、業界全体でロボットを活用できる場面を増やしていこうという流れもあります。そのような中で、私は新規事業の担当として、ロボットが従来の建設現場のみならず、建設後の施設の運用や、それを通じた”まちづくり”に貢献できるようなサービスの構築を目指しています。これまで、多数のテーマでサービスモデルの検討や実証実験を行ってきており、活動に対する社内の認知も高まってきました。

 しかし、その反面で、取り組みが多岐にわたりすぎており、最終的に何を本格的にやるべきなのか、私自身、結論を明確にしきれず悩んでいました。事業化していくためには、ハードウェアとしてのロボットだけでなく、操作のためのアプリケーションや得られるデータの活用など、管理プラットフォームの技術開発も必要です。

 現状の技術のレベルと今後の開発全体の時間軸を整合させ、何をどの順番でやるべきかを社内にロジカルかつ分かりやすく説明するためには、”しっちゃかめっちゃか”になってしまっている自身の頭の中を整理する必要があると感じていました。オモイエルさんが提唱している「思考の可視化」やプロダクトリフレクションのことはセミナーと展示会で知り、現状の私にぴったりのサービスだと思い、お問い合わせさせていただいた次第です。

実際のサービスの内容や結果はいかがでしたか?

 かなり色々な話をしたのですが、ツール(IdeaEDGE)の画面を共有してもらいながら集中して一緒に考えることができ、3時間半ほどのセッションがあっという間に終わりました。

当日の様子(IdeaEDGEの画面を共有しながら、対話を通じて情報の関係性を可視化していく)

 オモイエルさんと対話する中で、これまで実証実験を行ってきた色々なロボットの機能が何の役に立つのか、その上位にあるべき目的を確認し、ユーザーニーズを整理できました。詳しい中身はここでお話しできず恐縮ですが、ロボットを直接利用する施設運営者だけでなく、ビルオーナー・テナント・来場者といった、その他の関係者も含めたユーザーニーズのつながりや全体像が明確になりました。また、今後の技術開発の課題も分析でき、ロボットの開発ベンダーとの最適な連携の方法が見えてきました。

 これまで頭の中でバラバラになっていた各情報の関係性が可視化された結果、それを俯瞰して見ることで、自社のブランディングを考慮した事業の魅せ方と技術開発の方向性についての現実的な話の筋道を見出すことができました。今回見えてきた方向性をベースに、今後さらに具体的なロードマップに落とし込んでいくことができそうです。

- サービスに対する満足度や感想についてコメントをお願いします。

 とてもスッキリした整理ができ、大変満足しています。もっと早くオモイエルさんに相談しておけば良かったなと思いました。また、考えていることを定期的に整理していくことが重要だと実感しました。今回は私1人で臨みましたが、複数名でサービスを活用することも有効だと思います。グループで共通認識をつくることができれば、意思疎通が格段に早くなります。

 今回、当初は可視化した結果が社内報告用の成果物になると考えていましたが、それ以上に、情報を可視化する過程で発生したディスカッションに真の価値を感じました。当日の作業内容をレコーディングした動画も納品いただいたので、それを見返すと、最終的な結論のみでなく、話の全体像ができあがるまでの思考の順番や変遷を振り返ることができます。これをショートムービーやパラパラ漫画のようにして、あわせて社内に説明できると良いなと思いました。普段から社内では、設計者が考えた結論は各種資料として残っているものの、どのような過程でその結論に辿り着いたのか、という思考回路は不明となっていることが多々あります。オモイエルさんの手法を用いて体系的に思考のプロセスを残しておけると、貴重な資産になると思いました。

 あと、今回、サービスを受けてみて、ニーズ・シーズについての思考を可視化するというオモイエルさんの考え方(Solution Structure)は、デザイン思考やマインドマップとは似て非なるものだと、いうことが分かりました。デザイン思考による検討と補完し合える関係にあり、自社の要素技術を起点に具体的なビジネスを検討していく、といった場面では特に強みを発揮するように思います。ニーズに対する仮説や自分の中での考えを先に可視化してまとめておくと、顧客にインタビューする時に必要な情報の取りこぼしを減らせそうだとも思いました。

- 最後に、今後のオモイエルに期待することを教えてください。

 オモイエルさんの思考法の概要やツールの使い方は教えてもらいましたが、自分たちだけでも同様な検討作業ができるようになるために、スキルを身に付けることが課題だと感じました。情報の抽象化と具体化を使い分けながら、話をまとめたり整理したりする方法にオモイエルさんのノウハウがまだまだあるように感じています。今後もニーズ側・シーズ側の双方からの検討が発生すると思うので、様々の場面に即した思考法やファシリテーションをトレーニングできる機会をご提供いただけたら嬉しいです。

 また、今回は対話メインのリフレクションという形でサービスのご相談をしましたが、オモイエルさん自体はコンサルティングサービスも展開されているので、状況に合わせて依頼する業務の範囲を柔軟にご相談できるのも良いなと思いました。今後もよろしくお願いいたします。

- ありがとうございました!

(記事作成:2022年12月)