アクセラレータープログラムとは、大企業や自治体が成長を期待する企業に対して包括的な支援を提供するプログラムです。応募した企業は数ヶ月間、様々なアドバイザーからのアドバイスを受けながら、事業計画のブラッシュアップ・資金調達・実証実験・人脈構築などを無料で支援してもらうことができます。ベンチャーや中小企業の経営者の方の中には、このようなプログラムへの応募を考えたことのある人も多いのではないでしょうか。

これらのプログラムに応募するには、まず事業内容に関する審査を通過する必要があります。そのため、応募前には審査に向けた準備に時間を費やす必要があり、通過できなかった場合にはその時間が無駄となる、というリスクを負わなくてはなりません。また、いざ審査を通過して支援を受けてみたものの、特に大きな成果はあげられず、期待外れだったと感じている企業も少なからず存在しています。一部のアクセラレータープログラムでは、主催者と運営者で仕組みづくりばかりして、中身がおろそかのまま、ベンチャーや起業家を食い物にしている、といった評判が立ってしまっているのも事実です。

そこで、今回は、アクセラレータープログラムに興味があるベンチャーや中小企業の経営者様に向けて、プログラムに応募することが本当に得策なのかを早めに判断できるようになる話題を提供したいと思います。具体的には、アクセラレータープログラムへの応募が期待外れに終わってしまう要因を整理してみました。

プログラムの仕組みとしてのメリット・デメリットを説明した記事はインターネットで調べれば色々出てきますので、本記事では、特に、応募企業の立場から見たネガティブな要素に主眼を置く形で詳しく説明をしていきます。

アクセラレータープログラムの構図

本題に入る前に、アクセラレータープログラムの体制について説明しておきます。多くのアクセラレータープログラムで見られる基本的な構図は、以下のようになっています。

プログラムは、大企業や自治体が主催者となり、そこから委託される形で、運営企業となるベンチャーキャピタルやコンサルティングファームが実質的な企画や事務局の業務を担っています。そして、採択企業をフォローするメンター・アドバイザーは運営企業の人選により再委託された人材となります。

このことを理解しておくと、この後の話が分かりやすくなるのではないかと思います。

期待外れに終わる要因1:主催者と応募企業の目的の違い

アクセラレータープログラムへの応募が期待外れに終わる要因の一つ目は、主催者と応募企業の目的の違いです。

当然ですが、プログラムには主催者側にとっての目的があります。応募企業は、プログラムがボランティアではないことを認識し、その趣旨や狙いを正しく理解しなくてはなりません。

主催者が大企業の場合、その目的は、新規事業をつくるための協業先や投資先を選定することになります。また、主催者が自治体の場合は、その地域内で力のある企業を増やし、経済を活性化させることが目的だと言えます。

いずれの場合でも共通しているのは、主催者は応募企業の事業成長を求めており、そのために必要な支援を提供するのだ、という点です。主催者は応募企業のやりたいことを純粋に応援している訳ではない、ということに注意が必要です。この点をはき違え、応募企業が主催者側の想定する枠から逸れた部分で過剰な支援を期待したり甘えたりしてしまうと、ミスマッチが生じます。

事業成長を望まない経営者はいないと思いますが、現状の課題や問題意識の具体的な中身は人それぞれかと思います。しかし、自社の腹の内をプログラムの審査時に馬鹿正直に伝えるだけでは、主催者側には支援目的との乖離が大きいように受け取られ、審査で落選する可能性が高くなります。また、仮に審査を通過して支援を受けることができたとしても、応募企業からすると、本来やりたかったことをかき乱された、とか、望んでもいないレールを勝手に敷かれた、といった感想を後で得る可能性が高くなります。

期待外れに終わる要因2:期間の制約

アクセラレータープログラムが期待外れに終わる要因の二つ目は、期間の制約です。

ビジネスとして運営される都合上で仕方のないことではありますが、プログラムには通常、支援の期間が定められています。この点が、応募企業にとっての満足度が上がらない理由になっているのです。

期間の制約があることで、まず、運営企業は一つ一つの企業に十分な時間を割きにくい状況にあります。さらには、限られた期間の中で実績を追求するため、どうしても結果重視の支援アプローチを取る傾向にあります。そのため、応募企業に提供されるのは具体的な戦略のアドバイスやノウハウが中心となり、応募企業側にとっては、それが納得感に欠けたり押しつけがましかったりすると感じてしまう場合があります。

応募企業として本来期待するのは、自社の想いを深く理解してもらい、ビジネスの独自性や長期的なビジョンについての議論をすることなのではないでしょうか。しかし、プログラムの中には、自社の取り組みの背景や考えをしっかり聞いてもらえる時間が不足しがちで、応募企業側の本来の想いや興味に踏み込んだ議論は十分に行えないものも多くあるのです。

また、期間の制約があることで、一般的な多くのプログラムは、短期間でも示しやすい表面的な華やかさや分かりやすい成果を見せたがる傾向にあります。そのため、応募企業に商談の機会を何回提供できたか、とか、イベントやメディアで何回取り上げられたか、といった表面的なKPIを満たすことが主催者や運営企業の設定するゴールになってしまい、応募企業側の実際の満足度は成果の指標にすらなっていないケースも見受けられます。

期待外れに終わる要因3:運営企業とアドバイザーのレベルやモチベーション

アクセラレータープログラムが期待外れに終わる最後の要因は、運営企業とアドバイザーのレベルやモチベーションです。

プログラムの事務局は、運営企業に勤める会社員です。そのような人が応募企業とどこまで血の通った議論ができるかは不明です。気を付けないと、経営者ではない人から経営者が経営に関して無責任なアドバイスを受ける、という構図が出来上がってしまいます。

また、アドバイザーは、業務を委託されている身である手前、プログラムの成功と自身の評価に強い関心を持っています。そのため、必ずしも相談者に寄り添った支援をしてくれるとは限りません。事業成長に関する知識や仕組みづくりのスペシャリストが、相談者の想いに応えるスペシャリストだとは限らないのです。

そのような事情から、応募企業側としては、プログラムを期待外れにしないためには、運営企業やアドバイザーのレベルやモチベーションを見極めることが重要だと言えます。

応募に向いている企業とは?

上記で説明してきたように、アクセラレーションプログラムには、応募企業にとって慎重に検討した方が良い要素が存在しています。アクセラレータープログラムへの応募を期待外れに終わらせないためには、ここまで説明してきた話を事前に理解し、プログラムをうまく利用してやろう、という強い意志や周囲に流されない覚悟を持つことが審査前にも支援期間中にも求められます。

そのうえで、アクセラレータープログラムへの応募をお勧めできる企業は、以下の条件を満たした企業だと言えます。

  • 支援を受けること以上に、プログラムに採択されたという実績を得る(企業としての箔をつける)ことが重要と考えている。
  • 資金調達や実証実験の場の提供のように、受けたい支援のアウトカムが明確である。
  • 受けるアドバイスを妄信せず、その良し悪しを自社で判断できる。良いものだけを持ち帰ろう、というマインドを持てる。
  • 主催者や運営企業の事情を汲み取り、器用に立ち振る舞える。受け身になって迎合するのではなく、自社で双方の利害を調和させる心の余裕とリソースがある。

あなたが上記の要件をすべて満たしているなら、アクセラレータープログラムへの応募は有効です。しかし、調べれば調べるほど、自分の理想とする方向性に一致したプログラムが見つからなくなってくるのも現実としてあるのではないかと思います。

アクセラレーションプログラム以外の選択肢

ここで、支援を受けるための他の選択肢としてご提案したいのが、個別に相談先を探すという手です。包括的な支援は望めませんが、各領域ごとに、信頼のできる相談相手やアドバイザーを探すことは、アクセラレーションプログラムに応募しなくても可能です。

例えば、オモイエル株式会社は、製品/サービスの企画開発を支援するサービスを提供しています。オモイエルの壁打ちサービスは、製品/サービスづくりの分野における課題整理のプロフェッショナルと議論ができるサービスです。自社の想いをしっかり聞いてもらい、やりたいことを突き詰められる、という、アクセラレーションプログラムに期待することが難しい面をカバーしたサービスでもあります。

また、オモイエルは、壁打ちサービス以外にも、自身の思考を整理し、主観・客観の双方から製品/サービスについて理解度を高めたり内省したりできる動画講座も提供しています。

アクセラレータープログラムへの応募を検討している企業の方や、過去に一度採択されたものの期待外れに終わってしまった企業の方は、他の選択肢の一つとして、ぜひ一度活用してみてください。